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教育トレンド

人工知能が人間を追い越す時代へ

◆AIの進歩は急速な展開をみせている。
イギリスのオックスフォード大学マイケル・オズボーン教授が、“将来的に半減するかなくなる仕事”として「あと一〇年で消える職業」一覧を発表して大きな衝撃を与えた。教授は七百を超える職業につき、コンピュータにとって代わられる確率を、どれだけ自動化できるかとかテクノロジーの発展のトレンド等を加味して「・手先の器用さ・芸術的能力・交渉力・説得力」等から詳細に試算した。
教授が上げるほぼ半減する仕事を以下に列挙してみた。
銀行の融資担当者、スポーツの審判、集金人、電話オペレータ、レジ係、レストランの案内人、税務申告代理業者、時計修理工、データ入力作業員、彫刻師、苦情処理担当員、ホテルの受付、不動産ブローカー、給与・福利厚生担当者、映写技師、測定技師、仕立屋、カジノディーラー等々。
いわゆるビッグデータの集積は、今まで非ルーチン作業だったものを、ルーチン化することが可能になった。例えば、アメリカの医療の分野では、罹患部位の画像診断では、何十万件もの医療報告書、百五十万件の患者記録、臨床実験、二百万ページの医療記事を分析し、コンピュータが患者の最適の治療計画を作成できるという。金融業界では、人間のトレーダーでは追いつかないようなスピードで、コンピュータが何万ものデータ、決算書、プレスリリースを分析してそれに基づいた投資を、現在行っているという。
よその世界のことだ、と思ってはいられない。身近なことだが、筆者が最近経験したのは、久しぶりで行ったスーパーマーケットのレジでの出来事だ。

 ◆消えたスーパーのレジ係
 これまで、十台ほどのキャッシャーとレジ打ちの担当者が並んでいたが、その列は四台になり、六台あった場所にじゃ、大型の決算機械がならんでいた。買い物客はどちらにならんでもよい。客たちは大型機械の前で、モニターに出る指示に従い、「現金支払いですか? カードでの支払いですか?」とあれば、「現金」にタッチすると、次の画面へいく。
買ったものに貼付しているバーコードを窓にかざすとモニター価格が入力される。例えば「パン  価格百五十円」「醤油 5百円」などと映し出されていく。
買ったものを次々とかざし、最後に「終了」のボタンをタッチすると合計金額がでるので、投入口に紙幣をいれ支払いをするとお釣りが出てきてコンピュータが機械音で「有難うございました」というのを聞く。
PC支払機は八台あり、専門のスタッフは一人だけいて、ボタンの捜査が分からないときや、袋のバーコードの読み取りが出来ないなどの不具合があると、修正したり、操作を教えたりするのである。
キャッシャーに一〇人いたレジスタッフは、そのスーパでは合計五人で回せるようになった計算である。そして、大型支払機と人間キャッシャー合わせた処理件数は、さっさとPC会計していく若者も多いため、以前より増えている。

◆二〇四五年問題 − シンギュラリティとは?
コンピュータの進歩と言えば「ムーアの法則」が名高い。これは、つまり、コンピュータ進歩をさせるのは集積回路の進歩であり、一年半で一・五倍になり、五年で十倍、十年で百倍となるというものだ。が、こにきて、コンピュータの爆発的な発展が予想され、二〇四五年問題が言われるようになった。それは、人工知能が人間の知能を超える技術的特異点(=シンギュラリティ)に到達するということだそうだ。
急速なコンピュータ発展の時代であるが、現在中学生である人は、二〇四五年には四一歳になる計算である。そのころ、完全自動運転の車が走り、筆者が行ったスーパーマーケットには、ほとんど人間はいずに、ロボットがドアに立ち「いらっしゃませ」と応対してくれることも普通になるかもしれない。働ける年代の人口が減少し、高齢化が究極になり、自動運転バスが、高齢者を載せて自宅と病院を往復していることは夢物語ではなくなった。

 ◆どんな人材を作るのか
ところで二〇二〇(平成三二)年といえば、東京オリンピック・パラリンピックが開催される年。そして四月には小学校の新学習指導要領が全面実施となる。
また、年度内の二一年一月(平成三十三)には、大学入試センター試験に代わって共通テストが初めて実施される予定で、教育界にとっては画期的な年となるはず。
 そこで既に告示された小学校・中学校の新学習指導要領でも、AIを意識した改訂がうちだされている。
どの教科等でも三つの柱で資質・能力(<1>知識・技能<2>思考力・判断力・表現力等<3>学びに向かう力・人間性等)を育成しようとしており、授業にアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び、AL)を導入しようとしている。
これらは「人間ならでは」の学びのためと言える。さらに小学校からのプログラミング教育を必修化して、早い段階からAIを使いこなせる人になれる基礎を学ぶようになっている。
この人工知能の発展は、止めることのできない流れであり、一国の支配の範疇を超えた国境などのない世界である。こういった世界に出ていかざるを得ない、現在の子どもたち。
翻ってみれば、人工知能にない力を身に着けて、人間であることの利点を精一杯生かすような道が、人間としての生き方となるのではないか。それが、多くの人に問われているのではないか。
 
 ◆幼少時代から、スマートフォンの動画を、子守替わりにして、小学校でプログラミングの基礎を習い、デジタル教科書で授業を受ける今のこどもたち。人工知能は、膨大なデータ量で、素早く仕事を行い、人間の仕事の多くを引き受けていくことが予想されるが、
人工知能にない豊かな創造性や、判断力、人間性を幼少から磨くことが、よりよい生き方になることは論を待つまでもないのである。人工知能が人間を超えるという技術的特異点の世界は、未知の領域である。便利さ、豊かさ、効率性、経済性を追求して、人間は幸せを追求してきた。新しい世界が予想される現在、人工知能を作った人間は、「人間らしい生き方」というキーワードを忘れることない教育を進めることが、今後も最大の鍵あることを確信する。(了)
特定非営利活動法人教育ソリューション協会 緑川 享子

 


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