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教育トレンド

2020年大学改革の開始  ~ 第4次産業革命を迎えて

急激な情報化社会の到来で、教育界では種々の改革が目白押しである。戦後最大の教育改革は、二〇二〇年を目安に始動する。
まず、大学の改革である。例年、一月後半に行われてきた大学入試センター試験であるが、これは二〇二〇年度(二〇二一年一月)から導入される「大学共通テスト」に切り替わる予定だ。大学・高等教育機関のあり方は、小学校から高等学校までの教育のあり方に大きく影響するため、非常に大きな役割を持つ。並行して、小学校では新しい学習指導要領の全面実施となる。

■少子化日本で
 日本では年々、こどもの数が減少し、大学入学年齢である18歳人口も急減、国内の財政は逼迫し、経済再建を余儀なくされている状態だが、世界の中の日本としては中小の国々が、みるみる経済力、学力、情報力をつけてきており日本を凌駕しそうな勢いである。
このような世界では、世界規模での力をつけないと国力が落ちこぼれてしまう、という危機感が誰の目にも明らかにある。
ニューヨーク市立大学のキャシー、デビッドソン教授が「二〇一一年に小学校に入学したこどもたちの六十五%は、大学卒業後、今は存在していない職業に就く」という説を発表して話題をさらった記憶も新しい。そして、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏が人類の未来についての書作「ホモ・デゥス」を発表し、究極のAI社会を予測している。それは、AIが人間の能力を超える分野が増えるにつれて、経済的に無価値で政治的にも無力な「無用者階級」となる一方でごく一部の超エリート階級の出現の可能性を論じている。さらに筆者が目にしたインタビューでは、以下のように喝破している。
「現代の教育制度の多くは、このような不安定で緊張感に満ちた人生には対応できていない。子どもたちに教えなければならない最も重要なことは、変化に抗うことではなく変化を前向きに受け入れられるような特性なり自己イメージなりをどう築いていくかだ」(週間東洋経済2018年12月1日号インタビューからの抜粋)
急激な進歩の中を生きるための教育をどう切り開くのか、現在がためされている。
■「第4次産業革命」
IoT(Internet of Things)という言葉がよく聞かれるようになった。アイオーティーとは、ものがインターネットを経由で通信する、事を意味する。
あらゆるものがインターネットとつながって人工知能(AI)技術の発達により、生産や販売、消費などの経済活動に影響を与えるのが「第4次産業革命」というわけだ。
世界中にはりめぐらされたインターネットはあらゆるものをつなげ、情報を可視化する、
例えば、はなれたモノの状態を知る、離れたモノの状態を操作する、といったことも可能である。これはごく一部の例であって、様々な応用例が実現しつつある。
教育分野でそれを適用すると、教育(Education)とテクノロジー(Technology)を融合させた「EdTech」ということとなる。現在、経済産業省が後押しする「未来の教室」で展開中である。新たな教室像を描くプロジェクト「未来の教室」。その実証事業が本格化しており取り組み内容が公開になった。
構成人員は民間企業やNPO法人、教育機関等が提供する新教育サービスやプログラム等を実験的に学校で行って、実用化に向け効果や問題点を検証するものだ。
現在の学校の情報機器、ハードの環境は、平均的な教室には、コンピュータ、電子黒板、実物書画投影機、デジタルカメラ、プリンタ、スキャナ、ヘッドセット、等が揃っている。
これに、学習用ソフトウエアが加わる。
つまり、これらによって、紙とえんぴつ、黒板といった従来型の学習環境から、学習データや情報、知識がオンライン化、デジタル化されて、子どもたちはプログラミングやプレゼンテーション、ラングリッジ、コミュニケーション力といった形に学習内容、形態、実践を変貌せざるを得ないのである。
 この背景にあるのは、世界的にこれらの教育から立ち遅れをみせている実態があるからだ。
世界と日本でのICT活用の実態がわかる、OECDの二〇一五年の調査「PISA2015」では、
「ネット接続したコンピュータ」「プロジェクター」「デスクトップコンピュータ」「無線ランインターネット接続」「電子黒板」「ノートパソコン」「タブレット型コンピュータ」を使っているかの調査で、四十七か国平均よりもいずれも低い結果となった。
平均から数十%も日本でのICTの活用レベルは世界から遅れをとっているのがはっきりと分かる。
教師の労働も課題であるが日本の教師は、クラブ活動から保護者対応まで何でもこなすような状態で、残業をしていても多忙で、授業の準備もままならない。その上、増え続ける新機器の習得や技術研鑽の時間が取れない、これらの課題も解決していかないと、機器のみがあふれても指導者がいないという状況を呼んでいる。労働改革が、今まで影になっていた教師の労働改革をも促進することが望まれる。

■リカレント教育
さらに、進めたいのはリカレント教育である。これは、基礎教育を終えて社会人になった後、就労に活かすため改めて大学などで学び直し、また就労に戻るというサイクルを繰り返すことである。
この高齢化社会である。人間が、健康を保ちながら、生きがいをもって生涯働き、成長することが前提にある学び直しの機会、教育があれば長い人生の糧として有望である。日本では今まで学校をでたら大学に戻るとか、自己研鑽の機会が薄かったが、大学を始めとした教育期間が門戸を広く設けることで、社会人がの学びは社会的、経済的にも役立つ実利、実益が考えられる。
 これには企業も学びのための社内制度の実施や助成金、教育プログラムを作るなど労働者の質を変える教育の場が求められる。
■さらに、STEM教育
STEM(科学=Science、技術=Technology、工学=Engineering、数学=Mathematics)やSTEAM(STEMに芸術=Artを加えたもの)の分野も注目される。
こどものうちからロボットやIT技術に触れる機会を増やしていく教育、すでにアメリカや新興国では導入されているものだ。この根底には、自発的、創造的、判断力、問題解決能力、交渉力、表現力といった従来日本の教育に薄かった能力が、今後の教育界に必要だということが言える。
現在世界で屈指の企業としてはGAFA(ガーファ・Google,Apple,Facebook.,Amazonの頭文字)と言われる。四社の時価総額は合計で三〇〇兆円という記事を読んだ。新しい時代、新しい進歩の前に、教育がなすべきことが突きつけられているのである。

STEM教育の根底には「自分で学び、自分で理解していくこと」がある。すなわち自発性、創造性、判断力、問題解決力といった諸々の能力を高めていくというこで、それらを可能とし、加速しているのが、ITでありコンピューターでありテクノロジーである。

教育に関わる取り組みは文部科学省や教育委員会ではなく経産省もAI時代の未来を生きる子どもたちが育つ学校に、新たな風を吹き込む役割を担えるか、経産省では2018年11月5日に「未来の教室」実証事業中間報告会を開催し、イベント動画を配信するなどもしている。
このような「教育の大改革」を一年後にして前年にあたる今年は、種々の前準備が加速するであろう。
(了)
(019年2月 記)

 


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