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教育トレンド

大学淘汰の時代へ突入 ~ 実務中心の大学専門職大学が創設される

■既存大学とは違う大学
大学は、教育改革の要として論議を呼ぶところである。
二〇一九年の四月から新たに専門職大学と専門職短期大学が創設されることとなった。二〇一七年一二月、文部科学省から一三校の専門職大学・三校の短期大学の認可申請があったと発表があり、来年度にむけたが生徒募集がはじまっている。
 五十五年ぶりに開設になる新しいタイプの専門職大学、専門職短期大学とは、いったいどのような大学か。
専門職大学とは、既存の四年制大学及や短期大学とは異なり、実習や実験等を重視した即戦力となりうる人材の育成を目指す目的の大学である。また、職業もしくは実際生活に必要な能力を育成する学問・教育施設である専門学校と違い、学校教育法の一条校として開設される。
専門職大学は、かなり実践的な教授内容で、実社会にでての即戦力を養成する大学、ということとなる。では、今、なぜ、専門職大学が創設されるのか。

■ 専門職大学その背景には
その新設の理由として、以下のようなことが言われている。
① 情報化社会で、グローバル競争が激化している。それに伴う技術革新や企業動向に応じた、高度で質の高い人材育成が急務となった
② 企業内で職業訓練の機会が減少しており、学校教育での職業教育の充実が必要
③ 社会や産業の急速な変化に対応した高度専門職業人養成には現状の制度では限界がある
④ 一度社会に出ると教育の機会が減少する。社会人の学び直し需要への対応ができる。
⑤ 専門学校卒業生の進学機会の場の提供となる。
概要は以上のようである。この新たな制度創設により、学ぶ意欲と能力のある若者や社会人が質の高い教育を受ける機会が増加するうえ、多様化・複線化した高等教育体系ができる、と期待できよう。
しかし、少子化の中で、既存の大学でさえ多くの課題を抱えている中での、新しい形の大学。来年開校の前から、課題はないのだろうか?
■実質的な「全入時代」と私大の定員割れ
人口減少の続く日本。しかし裏腹に大学は増加してきた。近年、大学の数は(四年制大学)の数は、五百二十三大学から七百七十三大学へと、一・五倍に増加した。
では、大学の入学者となる一八才人口はどうか?厚生労働省の推計では、二〇一七年の出生数は二年連続で百万人を割り、約九十四万人までに減少した。その彼らが成長した一八年後、大学入学者率が同様であれば大学入学者数の減少ということとなる。
日本の一八歳人口の推移を見ると、第二次ベビーブームに生まれた保護者世代の学生時代に当たる一九九二年には約二〇五万人とピークであった。その後、一八才人口は急減し、二〇〇九年には約百二十一万人と、ピーク時の約六割にまで縮小した。
進学率はというと浪人を含む四年制大学への進学率は約二十七%から約五〇%にまで倍増している。地方小規模大学を中心に、私立大学の約四割が定員割れという事態が続いている。経営破たんする大学の事例は耳に新しい。
■「二〇一八年問題」とは何か?
教育関係者の間で言われているのが「二〇一八年問題」である。これはつまり
「日本の一八歳の人口が二〇一八年頃から減り始め、大学進学者が減っていくこと。
日本の一八歳人口は、一九九二年の二〇五万人から二〇〇九年の百二十一万人へと激減したが、この時期、大学進学率が二十七%から五〇%に伸びたため、進学者は逆に増加した。

〇九年以降の一八歳人口は、ほぼ横ばいで一七年頃まで続くが、推計では一八年以降減少に転じる。そして三十一年には一〇四万人まで減る。大学進学率も伸びないと予測されるため人口減少分がそのまま影響し一八年の六十五万人から三十一年には四十八万人にまで落ち込む」ことを指す。
塾、予備校関係者たちは、自分達の業界が立ちいかなくなると戦々恐々としている。すでに全国各地にあった教室(支店)を統合、閉鎖して縮小に向かう大手予備校や、大規模にネットやIT、衛星授業、テレビ宣伝をおこなえる大規模資本との統合により、かろうじて名を残しながら参加に下る例が多々出ている。
また、筆者の知人である都内の私立高等学校の担任の五〇代教員は、午後の空き時間に、著名予備校や塾に、生徒を誘致する営業活動に出るのが、当然の業務となっている、と話してくれた。
「どのような生徒さんであっても、来てもらうだけでも、学校がつぶれないのですから。もしか、良い生徒がきて、有名大学に入れば、学校の宣伝効果抜群です。とにかく定員を満たさないと自分達の給与も補償されません」と厳しい経営の現状を語る。少子化は、教育界全体を揺さぶる事態なのである。

■実務に特化した大学
具体的な新設される専門職大学であるが、現在のところ国際工科専門職大学、国際ファッション専門職大学、東京医療福祉専門職大学、大阪医療福祉専門職大学など一三校。入学定員は合計約四千二百人。設置者は日本教育財団、小関学院、敬心学園、国際ビジネス学院、大和学園等。専門職短期大学は、ヤマザキ動物看護専門職短期大学と日本歯科専門職短期大学、大阪調理専門職短期大学の三校。入学定員計百九十人ということである。こうしてみると規模的には、小規模であるようだ。
大学経営では、学生規模が大きい方が、運営にはプラスになる傾向がある。
学生規模が大規模なのは、一位は日本大学で、学生数は約七人だ。二位は早稲田大学で、約五万五百人、ついで三位は立命館大学の約三万五千人。
経営が赤字の大学は、大学規模が五千人から下の方で多くみられる。経営難の私立大学を自治体が引きとり、公立大学化する動きもあり、長野県の諏訪東京理科大学が公立化したが、他にも、新潟産業大学も公立大学法人化を検討しているということである。
グローバル化という急激な世界規模の時代変化は当然のこととして、少子化という内患にも対応するべく大学は国私立問わずの大改革時代に突入したのである。
(了)

 


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