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教育トレンド

小学校でプログラミング授業が開始 ~次期学習指導要領から

◆次回改訂になる学習指導要領
 次回改訂になる学習指導要領で、小学生にプログラミング学習、が盛り込まれている。
「小学生にそれほどのことが必要なのであろうか? 」と思う方も多いかもしれない。
が、身近な話題では、近年、囲碁や将棋といった世界で、人工知能=AIが、世界チャンピオンを負かすなど、急速な進歩を遂げている。この急変では、今の小学生たちが世の中に出る頃の社会は。よりITは発達し、ロボットが実用化しているであろう、一体どう変貌していくのか。急激な技術革新がどの程度になるのだろうか、

 例えば、現在、いくつかの調査でも、ロボットが人の仕事領域にまで進行し、仕事を失うひと増えるといった調査結果が出て話題となっている。
周囲を見渡しても、パソコンが介在する様々なサービスがあり、銀行でも人のいないATMを自己責任で操作しなければならない。スーパーに行けば人のいない会計レジで支払いをするシステムが出てきている。物品の購入でもネットで予約してカード番号を入力して支払いし、特段、人に依頼するという行動がなくても品物が買える。また、数年後に実用化されるという無人自動車や受付ロボットの開発等、人が必要ないかのような時代が予測される。これらを動かすAIが多くの仕事を担うようになってしまったら、今の仕事はどうなるのか、予想もつかない時代が到来するのである。
「大きくなったら◎◎になりたい」と言っている幼い子どもたちの未来の職業はどうなってしまうのだろうか?

◆技術革新で企業の動向は?
技術革新の波は、企業においてこそ、大きな課題である。そこで先ごろ、厚生労働省所管の独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が、企業と労働者に、イノベーション(技術革新)への対応について調査を行った結果から、企業人がどの程度、この人工知能なりを考慮している考察してみよう。この調査で企業の回答では、職場への導入状況について、「すでに導入済み」は0・八%にすぎず、「現在、導入を検討中」も三・八%にとどまっており、「現時点で導入予定なし」が約九割だ。企業で働く労働者の意見では、職場にAIが入ったとして、「仕事のほとんどが代替可能だと思う」と回答したのは約五%と少数で、約六割と多くの人は「一部代替が可能だと思う」と考えている、が一方では、「代替はほとんどない」も約三割であった。
「ほとんど代替可能」の割合が高いのは、業種で言うと「鉱業、採石業、砂利採取業」(約九%)や「学術研究、専門・技術サービス業」(約八%)など、職種で「輸送・機械運転職」(約八%)、「事務職」(約七%)など。いずれにしても一〇%を上回ることはない結果となった。現段階ではまだまだ人間の存在が欠かせない、と多くの見方である。
次にAIの知識・スキルを習得するための対応・準備をしたいかどうかを尋ねると、「すでに対応・準備をしている」労働者は約二%だけで、「対応・準備をしたい」もが約三割だった。現段階では、AIは現実的な職場の驚異といえる存在ではない、だがいずれは何らかの形で自分の職場にAIが入ってくることは不可避と考えなければならない。
■プログラミング教育を支援する動き
教育の世界では、来るべき時代の人材育成の面から「プログラミング教育」を推進しようと、「未来の学びコンソーシアム」が活動を始めた。これは文部科学省、総務省、経済産業省が連携し、次期学習指導要領における「プログラミング的思考」などを育むプログラミング教育の実施に向けて、学校関係者や教育関連やIT関連の企業・ベンチャー、産業界と連携し、多様かつ優れたプログラミング教材の開発や企業等の協力による体験的プログラミング活動の実施等、学校におけるプログラミング教育を普及・推進する、というものだ。
同コンソーシアムは、教育界ニーズや産業界ニーズの双方を鑑みながら、運営協議会を年二回から三回程度実施し、現場ニーズに応じたコンテンツの開発・提供や支援の提供を行う、と言う。日本のプログラミング教育は、これからといった状況だが、ヨーロッパでは各国でIT教育が進んでおり、すでに一〇年が経過している。
日本では二〇二〇年までにIT関連人材が三十七万人不足するといわれている。

◆プログラミング教育の先進的取り組み事例
埼玉県戸田市では「戸田市21世紀型スキル育成プログラム」を策定。平成三十二年度には小中一貫カリキュラムで年間三十五時間プログラミング教育に取り組む。現在では様々な企業と連携してプログラミング教育を展開中。
東京都渋谷区では小学校のプログラミング教育を平成二十九年度から全学年で必修化する予定だ。情報端末(セルラーモデル)で持ち帰りできる環境を整備している。昨年の先行実施では「総合的な学習の時間」でスクラッチを使った防災安全マップ作りや、マインクラフトを使った学習、3Dプリンタと組み合わせたプログラミングなどを行った。
相模原市の小学校はWebベースでプログラミング、中学校ではロボットプログラミングを実施する予定。
茨城県古河市の小学校のモデル校では、小学校低学年から高学年まで、ビジュアルプログラミング、ロボットプログラミングなど各教科でプログラミングに取り組み、様々なシーンでプレゼンテーションを行い「プレゼンすることが大好き」な子供が育った。今後は中学校に継続していく、とする。

◆予測困難な時代に
 この全世界的な情報化の流れは、とどめようがない。しかし、変化が多く、予測困難な時代を生き抜くために、子供たちに必要な力はまったく知らない力、ということではないと筆者は思っている。
根本は、従来から重視されてきた、読解力・創造的力、論理思考力、問題解決能力、人間性なのであり、変化する社会においてこれらの力を改めて時代の中でとらえ直し発揮できるかどうか、ということである。つまり私たちは現在でも、自動販売機やロボット掃除機など、身近な生活の中で意識せずとも、様々なものに内蔵されたコンピュータとプログラミングの働きの恩恵を受けている。
便利さの裏にどのような仕組みが機能しているのかを学習し、これらの機械が「プログラミング」通じて人間の意図した処理をしているのだと教育することはこれからの時代に生きるための必須の力として、避けえない学習である。
人間として時代を超えて必要となる資質・能力を、発達の段階に即して身に付けていくことは当然として行い、社会変化を踏まえ、時代の要請を思考して課題を発見・解決する力を培わなければ情報化時代には生き残れないと改めて感じた。
(了)

 


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