学校リストをお探しなら、NPO法人 教育ソリューション協会の[全国学校データ]

NPO法人教育ソリューション協会


教育トレンド

AL教育、英語教育、大学改革等ーこれからの教育を経団連が提言

日本経済団体連合会(経団連)は、政府の第三期教育振興基本計画の策定に向けた意見書を先ごろ提言した。経済界の立場から今後の日本の教育の在り方に注文を付けるためのもので、幼児教育の無償化、学校教育におけるICT(情報通信技術)の整備促進、子どもの英語力の向上などを盛り込んでいる。長期にわたる経済の低迷、教育格差、こどもの貧困、家庭の崩壊といった実情の中、今後の日本の教育を変革するための重要な提言である。
その詳細をみてみよう。
■経団連が求める力− 課題設定・解決能力や文理越えた教養
 総じて、基本的な力として、まず三点をあげる。
「・実質的なアクティブ・ラーニング(AL)の推進 ・英語教育の拡充による英語能力の向上 ・高等教育・大学教育改革 」段階を追って紹介する。
<アクティブラーニング>
 現在、教育界においてもその重要性が増している“アクティブラーニング”。激変する社会で、経済界としても、見逃せない事態であることだ。そこで官民が連携して、プログラミング教育を含めたAL(アクティブラーニング)の普及、促進を目指す、という。
 コンソーシアム(参画団体・企業)=ICT CONNECT 21は教材開発(学校と企業のマッチング)を行う。
 運営協議会は年に二回から三回程度、小学校プログラミングの充実に向けた方策を検討する等全体の企画運営管理を行う。この活動によって学校現場のニーズに応じた教材開発と学校支援を実現する、と具体的に示す。
アクティブラーニングは、思考力・判断力・表現力の育成を重視するため、その推進はますます国際化、情報化が進む経済において根幹の教育となろう。そのため、推進を強く求めており、大学入試対策などのためにALが形骸化しないよう、思考力や表現力を問うような大学入試に改革していく必要があると述べる。現在、文部科学省が進めているセンター試験に替わる新テストの導入などの改革も経済界の要請に沿っているものだ。
 <英語教育拡充>
日本の会社のトップが外国人である、ということが珍しくなくなっている。優秀な人材を国内外から求めるという傾向は、今後も減ることはないであろう。その国際化が進展の中、実際的に語学力、とくに英語の力がないと企業活動に影響が出てしまうのが現状である。日本の英語実情は、改善の余地がありすぎるが、手本とするのは韓国である。
 韓国の教育熱はつとに知られているところであるが、こと英語に関しては国を挙げての推進が奏功しているといえよう。TOEICスコアの経年比較をみると、(表参照のこと)
その施策の背景として、提言では具体例を挙げる。韓国ではなぜ英語教育が発展したかである。
初等学校の英語教育の効果的方法として①実生活の中での感覚と経験が思考と行動に深く作用し、
好奇心旺盛な初等学校の児童特性を考慮 2実生活で接することのできる感覚と遊びを中心にして体験学習を通じて発見の楽しさを味わうことができるようにする。
児童は記憶力が十分ではないので、反復学習やマルチメディアのような多様で興味を引く教育媒体の活用をする。1997年韓国をおそったアジア金融危機が転機、失業者が急増したが、国際関連業務の遂行者は解雇されにくいと国民が認識した。
 グルーバル化志向の大企業が人事政策を転換した。サムスン電気が新卒の応募条件をTOEIC九百点以上と設定し、また多くの企業がエントリーシートに海外留学経験を設定した。
2000年に留学ブームが到来した。 (出典 文部科学省 「韓国のグローバル人勢育成について」より)
まず、これからの時代には、「グローバルにリーダーシップを発揮し、イノベーションを起こして新たな価値を創造できる人材」が求められると提言。ではその具体的な素質・能力としてはなにがあるか。
(1) 課題を設定し主体的に解を作り出す能力(2)対外的発信力(3)外国語によるコミュニケーション能力(4)文理の枠を越えた幅広い知識と教養(5)情報を取捨選択して使いこなす情報活用能力(6)多様性の尊重等を挙げている。
<企業と大学の連携>
 経団連は、大学プログラムへのさまざまな協力を行っている。その目的は、イノベーションを担う高度理工系博士人材の育成等である。
 まず、その重要性からかんがみて二〇一一年より「博士課程教育リーディングプログラム」を開始している。
経団連と共催で開催された二〇一六年度の同プログラムのフォーラムでは、産業界等に就職希望する学生たちが人事関係者にアピールするセッションも開催された。
 また経団連は立教大学、首都大学東京で「経団連観光インターンシップ」で実践的講義を提供している。
かさねて、経団連の関連組織である経済広報センターでは大学生に最新の経済動向や産業実態につき、大学生に実践を理解してもらうことを目的に企業経営者や経営幹部、技術者を大学に派遣する「企業人脈講座」を一九八六年から実施して、学生に最先端の日本経済の実態に触れる機会を創出している。
■高等教育より幼児教育の無償化
また、「就学前教育の無償化を迅速に進めるべきである」とする。背景には、高等教育よりも幼児教育への財政投入のほうが投資効果は高いと米国の研究などで証明されているからである。大学など高等教育に対しては、現在の給付型奨学金や無利子奨学金の拡充などを挙げた。
またかねてよりの課題であるが、日本はOECD加盟国の中でも教育への公財政支出が最低クラスである。
それは「国力の弱体化につながりかねない」と苦言を呈している。教育財源は「国民から広く薄く負担を求める税財源にすべきである」とも言う。教育の予算の充実を求めながらも、その投資の効果や効率性を重視する。
 産業界の求める人材育成は、実学と現実的要請である。
文部科学省でも、平成二十四年度より産業界のニーズに対応した人材育成の取組を行う大学・短期大学が地域ごとに共同して地元の企業、経済団体、地域の団体や自治体等と産学協働のための連携会議を形成して取組を実施できるよう「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」を実施している。
 社会の動き、時代の要請に教育も対応し、優れた人材の育成に社会全般で取り組むことは、日本にとって重要であることは、過去も未来も変わりない課題である。(了)

 


コメントを残す



このページのTOPへ

全国学校データベース