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大学の財政難、基礎研究に影響  ~将来的にノーベル賞受賞者が育つために

■将来にむかってノーベル賞受賞者が育つために
 2016年のノーベル今年のノーベル医学生理学賞が、生物学で東京工業大学の大隅良典栄誉教授(七十一歳)に決まった。これで日本のノーベル賞受賞は二十五人目。日本の科学技術界は三年連続の受賞である。これにつき文科省は「ノーベル賞受賞を生み出した背景~これからも我が国からノーベル賞受賞者を輩出するために~」という特集をネット公開している。
成果を生み出した背景等を考察して、今後の日本の科学技術イノベーション政策に向けての示唆を得るためと言う。

■研究の工夫
 それによれば、昨年の大村智・北里大学特別栄誉教授の場合、研究で特徴的なのは、研究のチームワークを「大村方式」として地道で細かい作業に、微生物を分離する人、抗生物質の構造決定をする人といったように、研究員の役割を分担してチームで進めるため研究室の文化の醸成に注力したという。教授は絶えず研究室員の仕事ぶりを観察し、その状況に応じて助言した進行した。
また、ニュートリノに質量があったことを発見した梶田隆章・東京大学宇宙線研究所長。物理学分野の大型プロジェクトは近年の厳しい財政状況の下で円滑に推進していけるかどうか、費用面で困難がある。
 東京大学宇宙線研究所では研究者コミュニティはもとより、地元自治体と協力した実験施設見学が可能なイベントの開催、道の駅「宙(スカイ)ドーム神岡」や日本科学未来館等の現地施設以外での一般向け展示等の取組を実施定期的に施設を開放したり、アウトリーチ活動に熱心に取り組んでいる。
■大学の財政難
 このような背景の裏には大学が財政困難のために教員の補充がままならないという事態が出現しているからである。
国から支給される「運営交付金」が減額されて教授の補充ができない大学も増加している。
 日本には国立大学が八十六あるが、このうちの三十三大学が定年退職した教員の後任補充を凍結する人件費抑制策が取られている。
大学への運営費交付金はここ一二年間で一四七〇億円減少し多くの大学は財政難である。
この運営費交付金とは、国が人件費・物件費など大学の基盤となる経費として渡す交付金。
国が各大学から提出される次年度の収入と支出の見積もりを積み上げて、収入の不足分を予算として計上するもので
これは国立大学の収入の三~四割を占めている。
 大隅教授が受賞インタビューで、短期間で成果を求める風潮をなげき、基礎研究の重要性を訴え、研究費用への現状を憂いていた。
そして賞金は若手を育てるために役立てたいとコメントしていた。ポスドクの就職難や、大学の財戦難。筆者がいつも案じているのは、人を育てることは即効性がないが、短期間の成果のみ求めて基礎研究がないがしろになれば、将来のノーベル賞級の研究に赤信号がつくだろう。
(了)
(2016年 11月記)

 


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