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教育トレンド

技術立国・知財立国日本の進展の鍵は教育

■世界で競争できる人材の育成が必須
教育の国際化が真剣に問われる時代になっているが、日本の大学生の内向き志向が顕著である。海外に学問を求めて留学する日本の大学生はどれくらいいるのだろうか?
OECD(経済開発協力機構)発表の「図表で見る教育2013」平成二十五年版 によれば、大学などの高等教育機関に在籍する学生のうち、海外に留学している日本の学生の割合は約一%、これは比較できる国の中でのワースト二位という結果である。発表によれば、海外で学ぶ学生は二〇〇五年の六万二八五三人をピークに年々減少してきて二〇一一年は三万八五三二人だった。OECD加盟国の平均は二%だという。

アメリカは0.三%、メキシコは日本と同じ一%である。時刻から他国へ留学する学生の割合が最も高いのはアイスランドで一八.九%。次いでスロバキア一四.一%、アイルランド一三%、エストニアが約八%となっている。
日本から海外への留学者数の減少は文部科学省の集計でも明らかになっている。
国際舞台で活躍できる「グローバル人材」が求められる中、これまでも学生たちの「内向き」志向は、日本人の気質である、といった精神論からも論じられてきたが、近年の経済状況の悪化で,本人が留学を希望していても親の経済的困窮で留学を諦めざるを得ないケースが多発している。

また就職活動の早期化で就職活動への影響を恐れ留学を避けたりするという構造的な問題点も指摘されているところである。
急激な社会の国際化の中、開かれた教育を志向しなければ、国際社会から後退してしまう危惧があると、誰しもが危機感を覚えるであろう。たとえば、日本はアジア圏でいえばノーベル賞受賞者が群を抜いているのであるが、近年のアジア諸国の教育熱の高まりを考えると安閑としていては近いうちに追い越されるのは必定である。
こうした状況を受け、安倍政権が閣議決定した「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」には、二〇二〇年までに日本人留学生を六万人(二〇一〇年)から一二万人へ倍増させるという目標値が盛り込まれているあたり、国際化へのかじ取りに力が入っているようだ。
■ 「日本再考戦略」その教育分野の概要
「日本再興戦略 -JAPAN is BACK- 」平成二十五 年六月一四 日は、政治社会経済教育のすべてにわたっての基本構想が述べられているが、今回は、教育にしぼりその概要を抜粋してみた。
以下は、同戦略の教育分野の部分の引用である。
<日本の若者を世界で活躍できる人材に育て上げる)>今や日本の若者は世界の若者との競争にさらされている。将来の日本を担う若者 が、国際マーケットでの競争に勝ち抜き、学術研究や文化・国際貢献の面でも世界 の舞台で活躍できるようにするためには、まず何よりも教育する側、すなわち学校 を世界標準に変えていくことを急がなければならない。 日本の大学を世界のトップクラスの水準に引き上げる。
このため国立大学につい て、運営の自由度を大胆に拡大する。世界と肩を並べるための努力をした大学を重 点的に支援する方向に国の関与の在り方を転換し、大学の潜在力を最大限に引き出 す。また、「鉄は熱いうちに打て」のことわざどおり、初等中等教育段階からの英語 教育を強化し、高等教育等における留学機会を抜本的に拡充し、世界と戦える人材 を育てる。

-(中略)
(オールジャパンの対応で「技術立国・知財立国日本」を再興する) 日本は現在でも高い技術力を有しており、国や大学の研究機関も民間も世界の先 端を行く研究を行い、将来有望な技術シーズを数多く保有している。それにもかか わらず、最終製品段階の国際競争で他国の後じんを拝することが多いのは、国、大 学、民間の研究開発が、出口を見据えずバラバラに行われ、それぞれの持ち味を十 分に活かしきれていないことが原因である。

「総合科学技術会議」の司令塔機能を抜本的に強化し、日本が負けてはならない 戦略分野を特定し、そこに国、大学、及び民間の人材や、知財、及び資金を集中的 に投入するドリームチームを編成することで、世界とのフロンティア開拓競争に打 ち勝って新たな成長分野を創り出していく。 また、世界の先を行く基礎研究の成果を一気に実用化レベルに引き上げるための 革新的な研究を徹底的に支援し、iPS プロジェクトのような成功例を次々と生み出し ていく。国の総力を結集して「技術で勝ち続ける国」を創る。さらに、日本人の知 恵・創造力を発揮して、世界最高の「知的財産立国」を目指す。

また、産業構造の変化に対応した学び直し等の機会を拡大する。 ○国家公務員試験や大学入試等への TOEFL 等の活用 ・二〇一五 年度の国家公務員総合職試験から、外部英語試験を導入するとと もに、大学入試や卒業認定への TOEFL 等の活用を促進する。

○意欲と能力のある若者全員への留学機会の付与 ・ 高校・大学等における留学機会を、将来グローバルに活躍する意欲と能力のある若者全員に与えるため、留学生の経済的負担を軽減するた めの寄附促進、給付を含む官民が協力した新たな仕組みを創設する。

また、支援策と併せて、姉妹校締結や海外の大学と単位互換の取組等、 大学の教育環境整備を進めるなど、必要な措置をパッケージとして講 ずるための具体策を本年八月末までに検討を進め結論を得た上で、概 算要求等に反映させる。
以上が抜粋である。
■教育の進展で優秀な人材育成
大学側も対応を進める。東京大学は二〇一五年度末までに四学期制の導入方針を決めた。現行の二学期制より海外留学や留学生受け入れを容易にして、国際競争力を高めるのが狙いという。また奨学金制度を設ける自治体もあり、若者の海外留学を後押しする。

たとえば、埼玉県 東京都、神奈川県。千葉県群馬県、 栃木県、茨城県など、代替月額三万円から四万円程度を貸与する仕組みである。

国連で広報局事務次長を務めていた元外交官の赤坂清隆氏が、読売新聞の解説ページ「日本の対外発信」(二〇一二年一二月二一日付け)内で以下のような発言をしていた。大変に印象的であったので、ここに引いてみる。
「現在の世界の論調を支配しているメディアはニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト、CNN放送、英国のBBC放送などである。事務総長以下全員が毎朝、これらの新聞を読む。(中略)日本の発言力を高めるためには国内からの発信だけではだめで、こうした媒体に日本人の発言がもっとのることである」として「一方国連職員の日本人の数はまだ少ない。中国人職員は多く、優秀な人が次々と入ってきている。日本の若者に期待する。彼らが灌漑に飛び出し、活躍することは日本の勢いを取り戻すためには不可欠である」という趣旨の発言である。

教育は短期間での成果が見えにくい。今の小学生が一〇年後に、どういう成人になるかという長期戦である。世界と戦える人材という視点で、初等中等教育から視野を広める教育をすることが今後の日本にとって肝要である。(了)

 


 


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